2017年9月19日火曜日

⑧マンガに関連するイベント、啓蒙活動、産業支援に関する事業:2017年度分

高野さん受賞式
東京オペラシティにて

2017年9月15日、第20回文化庁メディア芸術祭に初めて参加した。
ナビを頼りに何とか新国立劇場にある東京オペラシティにたどり着く。
さすが日本の首都、その規模、斬新なデザインに圧倒される。
こんな場違いの所に来たのにはこんな理由があった。


「すべてのマンガコレクターは『青虫状態』に憧れる」という言葉がある。
青虫とはホントの虫ではなく、福島県只見市にある究極のマンガ図書館のこと。
ここの館長高野行央さんが、今年の文化庁メディア芸術祭の功労賞を受賞することになり、
コレクター仲間としてお祝いに駆けつけたというわけだ。

アート部門、エンターテイメント部門、アニメーション部門、マンガ部門の受賞式のあと、
いよいよ功労賞の番になる。
高野さんは甥っ子から借りてきたというモーニングを着用し、緊張の面持ちだったので
ちょっと心配したが、受賞の挨拶は実に落ち着いたもので、コレクター人生をこれまで
支えてくれた奥様への深い感謝の気持ちが溢れていた。


その後開催された懇親会では、文化庁長官が高野さんに挨拶に来られたが、その時、
「これまでいろんな挨拶を聞いてきたが、あれほど自分の奥さんに言葉を尽くした挨拶は初めて。感激しました」
というコメントが寄せられた。

同じコレクターとして、これほど励みになることはない。
おめでとう、高野さん! おめでとう、青虫!

以下は初めての青虫探訪記である。



青虫とは


2017年6月26日、そこへのアクセスの不便さからなかなか実現しなかった、福島県只見市にある「昭和漫画館青虫」を訪ねることとなった。


古いマンガに興味のあるファンの間では、一生に一度は訪れたい聖地として知られているのがここ「青虫」である。
そのネーミングの由来を館長に聞くと、さすが戦後マンガ第一世代だなと思わせる答えが返ってきた。

現在の日本のマンガは、1960年代に発生した二つの源流がもとになっている。
一つは「マンガの神様」手塚治虫を中心とするマンガ界のメインストリームである。

新刊書店を流通拠点として全国に多数の読者を抱えていた月刊雑誌、週刊雑誌に作品を
発表していたマンガ家たちが、1960年代に手塚治虫の周りに集まっていた。
トキワ荘グループと呼ばれる石森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄、つのだじろうに加えて、
手塚と同格の横山光輝、トキワ荘グループと親交のあったちばてつや、松本零士らが代表的作家であろう。

彼らの作品を発表するために手塚が創刊したのが「COM」という雑誌で、出版社は「虫プロ」。
「青虫」の虫はここからとったものだ。

マンガの表街道ともいうべき月刊雑誌に対して、裏街道ともいうべきサブストリームを形成していたのが、
「マンガの鬼」白土三平らを中心とした、もう一つの源流であった。

当時は全国に3万店以上あると言われた「貸本屋」を流通拠点として、漫画家たちは安い原稿料でマンガを描いていた。
さいとう・たかを、水木しげる、小島剛夕、辰巳ヨシヒロ、つげ義春などの作品は、
手塚の丸っこい絵柄に対して、リアルな描線で描かれており、当時「劇画」と呼ばれていた。
彼らの作品を出版していた雑誌が「ガロ」。出版社は名編集長長井勝一を擁する青林堂。「青虫」の青はここからとっている。

青虫は二つの源流の水源近くで描かれた1960年代の雑誌、単行本、関連資料を中心に構成されており、
私たち団塊世代にとっては、忘れがたいマンガばかりがズラリと並べられている。


・・・と、探訪記はまだまだ続くのだが、ここから先は私が寄稿している熊本の総合文化誌
「KUMAMOTO」20号を読んでいただきたいので、この辺で。

  
  
特定非営利活動法人 熊本マンガミュージアムプロジェクト代表 橋本 博






2017年8月20日日曜日

⑤マンガ関連施設、関係機関との協力、連携に関する事業:2017年度分

『3日間限定マンガ図書室』
くまもと森都心プラザ図書館との連携イベント報告

8月18日(金)・19日(土)・20日(日)。
くまもと森都心プラザ図書館との連携で今年4回目となるイベントが開かれました。


今年の「マンガ図書室」は、1960年代のマンガ界に革命を起こし、後世に大きな影響を与えた2つの潮流を特集。

手塚治虫を中心とするトキワ荘系の『COM』。



白土三平を中心とする劇画系の『ガロ』。


「COMとガロの遺伝子 ~昭和の名作マンガ大集合~」

と題して、それぞれの特徴をマンガ家とその作品に見つけていく、回遊式の本の並びになっています。 


初日
開場前には、RKK熊本放送(↑)と熊本日日新聞社(↓)の取材が入りました。
同日のRKK NEWS JUST.では、来場された方へのインタビューも交えて、
橋本代表への取材の模様や会場の様子が伝えられました。 


※ 放送されたインタビューの収録の様子。この日クママンで撮影した記録画像の中のベストショットです。

会場準備の都合上、午後からの開場となった初日でしたが、お子さん連れを始めとした多くの方にご来場を頂きました。


2日目
会場の様子も落ち着き、以下のような来室状況が入れ替わりで見られました。



15時からはマンガビブリオバトルが開催され、5人の方々による5分ずつのプレゼンと、
3分ずつの『質問タイム&お答えの時間』によるアピールが繰り広げられました。


『読んでみたいと思わせたい一冊』のプレゼン作品および、それぞれのプレゼンターは、

・『累(かさね)』プレゼンターは女性。
・『MASTER KEATON』プレゼンターは女性。コスプレあり。
・『コブラ』プレゼンターは男性。ちなみにフランスの方です。コスプレあり。
・『ちいさこべえ』プレゼンターは男性。コスプレあり。
・『兄友(あにとも)』プレゼンターは女性。

挙手による終了後の投票により、優勝者は『ちいさこべえ』プレゼンターに。
賞品として、一抱えある雑誌付録福袋が贈られました。
おめでとうございます。

その後、去りがたかったのか離し難かったのか、出演者を中心とした座談会的な
マンガ好きの集いを橋本代表が発起。集いはそのままイベント時間のギリギリまで。


最終日
会場の様子も2日目同様、以下のような来室状況が入れ替わりで見られました。



撤収時に図書館からのスタッフの方に伺ったお話では、
「いつもはなかなか来れないけど、このイベントがあるって知ったから来てみました」
という声もあったとのこと。
今回は大人の方がじっくりお読みになっている姿が多く見られましたね、と教えて頂き、
企画されたプラザ図書館の担当スタッフの皆さんと橋本代表との連携が、今回の来場者の
皆様の気持ちに添うものであったのではないか、と推測しています。

撤収はスタッフの皆さんの手際の良さによって、全作業終了は16時半。

くまもと森都心プラザ図書館担当スタッフの皆様、お疲れ様でした。

そして、報道でイベントをお伝え下さった皆様、足をお運び下さった皆様。
3日間一緒にイベントを作って下さって、本当にありがとうございました。
心より感謝申し上げます。





2017年8月6日日曜日

⑧マンガに関連するイベント、啓蒙活動、産業支援に関する事業 :2017年度分

『少年雑誌にみるヒーローの変遷』

くまもと文学・歴史館企画展 記念講演会:2017年8月6日(日)午後開催


 〇戦前  〜1945
背景…皇国史観、立身出世主義(末は博士か大臣か)、富国強兵、殖産興業、教育勅語

媒体…少年少女向け雑誌(少年倶楽部、少女倶楽部)、学年誌

 憧れの対象(ヒーロー像)
軍人→ 陸軍 乃木希典、海軍 東郷平八郎

仏教→ お釈迦様、観音菩薩、良寛

神話→イザナギ、イザナミ、天照大御神、須佐之男命、大国主命、神武天皇、神功皇后、日本武尊

歴史上の人物→○和気清麻呂、平重盛、源頼朝、菊池武光、楠木正成、新田義貞、豊臣秀吉、加藤清正、宮本武蔵

歴史上の人物→×平将門、藤原純友、藤原時平、弓削道鏡、平清盛、足利尊氏、高師直、足利義昭、上杉景勝

偉人→報徳思想の二宮金次郎、陽明学の中江藤樹、哲学の西田幾多郎、啓蒙思想の福沢諭吉、医学者の北里柴三郎

少年小説…西遊記、ロビンソン・クルーソー、十五少年漂流記、ガリバー旅行記、黄金虫、怪人二十面相、ファーブル昆虫記

マンガ→のらくろ(田河水泡)、冒険ダン吉(島田啓三)、タンクタンクロー(坂本牙城)、日の丸旗之助(中島菊夫)


 〇終戦直後→1955
背景…GHQの統制 (軍国主義、武道礼賛モノ禁止)、独立後(日本人のアイデンティティ復活:柔道・剣道)

分野…科学、恐怖、スポーツ、冒険、映画

媒体…紙芝居、赤本、初期貸本、絵物語、月刊少年・少女誌


 ヒーロー
紙芝居…黄金バット、ハカバキタロー

絵物語 …砂漠の魔王、少年ケニヤ

赤本・初期貸本 …手塚治虫(新宝島)、藤子不二雄(ユートピア)、白土三平(嵐の忍者)、横山光輝(音無しの剣)

月刊少年雑誌/少女雑誌…手塚治虫(火の鳥)、ふしぎの国のプッチャー(横井福次郎)、ロボット三等兵(前谷惟光)、猿飛佐助(杉浦茂)、
イガグリくん(福井英一)、赤胴鈴之助(武内つなよし)、鉄腕アトム(手塚治虫)

映画 … ターザン、キングコング、バンビ


 〇高度経済成期前期  〜1965
背景…政治の時代→経済の時代への変化、科学の勝利、地方の消失、オリンピック

分野…忍者(サスケ、影丸、ハットリくん)、武芸者(赤胴鈴之助、矢車剣之助)、
   ロボット(考えるロボット:アトム/操られるロボット:鉄人28号)、
   警察モノ、軍事、スパイ(W3、スカイヤーズ5、ナポレオンソロ)、
   探偵(まぼろし探偵、月光仮面、ビリー・パック)、
   スポーツ(野球、ボクシング、プロレス、バレーボール、水泳、レスリング)

媒体…週刊少年・少女漫画誌、青年・レディース漫画誌、新書判、B6判単行本

①少年雑誌…鉄人28号(横山光輝)、サスケ(白土三平)、海の王子(藤子不二雄)、まぼろし探偵(桑田次郎)、伊賀の影丸(横山光輝)

②少女雑誌…フイチンさん(上田とし子)、リリとナナ(わたなべまさこ)、ペスよおをふれ (山田エイジ)

③青年誌…カムイ伝(ガロ)、火の鳥(COM)

④貸本漫画…影丸(忍者武芸帳)、墓場鬼太郎 (水木しげる)


 映画、テレビ、音楽とのメディアミックス
①映画 …鞍馬天狗、大石内蔵助、清水次郎長、宮本武蔵、ワイアットアープ、ビリー・ザ・キッド、
バンビ、ダンボ、ゴジラ、日活ガイシリーズ

②テレビ…チロリン村とクルミの木、月光仮面、七色仮面、まぼろし探偵、笛吹童子

③音楽…エノケン、アチャコ、ロッパ、童謡歌手


◇参考◇
ヒーローをヒーローたらしめる、マンガだけでは成しえなかった作品世界の構築

作品世界を彩るヒーローの叫び
/敵の決まり文句
・とうりゃっ! ⇒ 赤胴鈴之助

・ロンブローゾー ⇒ 黄金バットのマゾー

・ウーヤーター ⇒ 少年ジェット

・アピカ ⇒ ナショナルキッドの悪人


作品世界を表すヒーローソング(すぐ画が浮かぶ歌)
・剣をとっては日本一に ⇒ 赤胴鈴之助

・赤い帽子に黒マスク ⇒ まぼろし探偵

・どこの誰かは知らないけれど ⇒ 月光仮面

・ビルのまちにガオー ⇒ 鉄人28号

・光る海光る大空光る大地 ⇒ エイトマン

・まっかな太陽燃えている ⇒ 快傑ハリマオ

・とけない謎をさらりとといて ⇒ 七色仮面

・空をこえてラララ星のかなた ⇒ 鉄腕アトム

・ゲ、ゲ、ゲゲゲのゲ ⇒ ゲゲゲの鬼太郎

・白いマットのジャングルに ⇒ タイガーマスク

・思い込んだら試練の道を ⇒ 巨人の星

・さらば地球よ旅立つ船は ⇒ 宇宙戦艦ヤマト




◇テーマ◇
ヒーローとは? ⇒ 少年の憧れの対象(時代とともに憧れは変化していく)

〈ヒーローの条件〉
・愛、勇気、希望にあふれている

・弱気を助け強きをくじく

・正義の味方

・裏切らない


ヒーローの属性がどうあれ、上記を満たす。
 現在の代表例:ルフィ(ONE PIECE)


cf〈アンチヒーローの条件〉
・愛、勇気、希望、正義を語らない

・目的のためには手段を択ばない

・強さ、権力への志向が強い

・裏切る、信念がない



【話の流れ】「梶原一騎作品の復権と再評価をぜひ」


◇ヒーローを描けなくなった低成長期(ニクソンショック・オイルショック)以降◇

⇒ マンガと共に育ってきた団塊の世代は、時代への挫折で喪ったヒーロー像をもう一度取り戻す必要がある。
「次世代のために」

そのために最も有効なツールはマンガではないか?



〈質疑応答〉
・おすすめマンガは?

⇒ マンガが世界を変えるかもしれない、という思いを久々に抱かされた
「ビリーバット」


・どうしてこういう不思議なことに橋本代表のまわりはなったのか?

⇒ 話せば長くなります(笑)

現京都精華大学副学長が熊本大学の学生だった頃の出会い、
現合志市副市長が合志市職員だった頃のキララ文庫での出会いなど、
人との出会いが、今の形への方向を少しずつとっていくきっかけに
なったのだと思います。





2017年8月4日金曜日

⑤マンガ関連施設、関係機関との協力、連携に関する事業:2017年度分

「COMとガロの遺伝子 ~昭和の名作マンガ大集合~」
 
 手塚治虫を中心とするトキワ荘系の『COM』
 白土三平を中心とする劇画系の『ガロ』
 
 今年の「マンガ図書館」では1960年代のマンガ界に革命を起こし、
 後世に大きな影響を与えたこのふたつの潮流を大特集!!
 
協力:NPO法人 熊本マンガミュージアムプロジェクト

場所:くまもと森都心プラザ 6階 会議室AB
期間:8月18日(金)~8月20日(日)

内容:1「3日間限定マンガ図書室 昭和の名作マンガ読み放題!」

       8月18日(金)13:00~17:00
       8月19日(土)10:00~17:00
       8月20日(日)10:00~15:00

   2「マンガビブリオバトル」
       8月19日(土) 15:00~16:30
   オススメのマンガを紹介し合う白熱のバトル!
   コスプレでの参加もOK!

   ☆ビブリオバトルのルール☆

   ①順番にイチオシマンガの紹介(1人5分)
   ②質問タイム(3~5分)
   ③観戦者がいちばん読みたくなったマンガに投票
   ④フリータイム

    【出場者5名募集!!】※ 締め切られました。
     ・お名前
     ・お電話番号
     ・紹介したいマンガのタイトル
     ・作者名
   を明記の上、電話・メール、またはプラザ図書館カウンターにてお申込みください。 

     【観戦者募集】
      申込不要!みなさんの一票で優勝者が決まる!!
  
    3「マンガよろず相談所」
      13:00~終了時間まで(3日間とも)
      マンガに関する質問からあなたにピッタリなマンガの紹介まで、
      クママンスタッフが何でもお答えします!
      
入場無料・申込不要(ビブリオバトル出場者を除く)
  
詳しくはポスターをご覧ください。








2017年7月20日木曜日

③マンガを利用して町おこしを行う事業:2017年度分

『クママンから合志マンガミュージアムへマンガ資料寄贈』
『合志市とクママン包括連携協定に調印』

7月18日(火)。ニュースをはしご。
7月19日(水)。新聞各紙を購入。
7月20日(木)。web上でも詳細を伝えて下さる、
各記事のアドレスを、ここで紹介させて下さい。

くまもと経済フォトニュース 2017年7月18日
合志マンガミュージアム開館に先立ち調印式

くまにちコム 2017年07月19日
合志市にマンガ資料6万冊 ミュージアム開設

毎日新聞 2017年7月19日 地方版


現実をただ追うだけの努力であったなら、この日はこの先も来なかったでしょう。

人の繋がりが『現実』を先回りして、周りにそれを『実現』と読み替えさせる力を生む。

合志市とクママンが手を携える、合志マンガミュージアムの開館まであと2日です。







2017年7月17日月曜日

⑤マンガ関連施設、関係機関との協力、連携に関する事業:2017年度分

『クママン有志設営アシスト』

7月20日(木)から開催される、『少年雑誌に見る時代のヒーローたち』は、
昨夏の『永遠の乙女達へ 少女雑誌とふろく展』に続く、くまもと文学・歴史館の企画展です。


昨年に続き、クママンは今年も同展の展示に協力。
4月半ばから、1970年代~2000年代の少年マンガ雑誌が、
所蔵資料から選び出されました。
閲覧室の壁には、週刊少年ジャンプ・週刊少年マガジン・
週刊少年チャンピオン・週刊少年サンデー・週刊少年キングなどが並びます。

その設営には、アシストでクママン有志も参加。






ひと仕事やり終えた皆さんの笑顔がこちらです。※画像は立体視画像風味です。














作業後は休憩をはさみ、急きょ特別に、準備中の会場での内覧会が。

改めて。
開催中、絶対見に行きます(入り浸ると思います)。





2017年7月16日日曜日

⑤マンガ関連施設、関係機関との協力、連携に関する事業:2017年度分

『マンガ、サンパウロへ』

7月16日(日)、明治大学が進めていたブラジルのサンパウロへのマンガ寄贈事業の連携協力で、
クママンから約1800冊が明治大学図書館へ発送されました。

日本のマンガをブラジルで待っている人たちがいる。

選び出しを含めた準備の間、不思議な高揚感があったのを覚えています。


発送は19箱。今後は船便の手配により海路サンパウロへ、とのこと。


ともあれ熊本を無事旅立った、完結作品を中心とするマンガ群。
以降の物語は、もう少し先にお知らせできそうです。